日本語能力試験(JLPT)は、日本語の理解度を測定する試験です。日本語能力を測定するための最も有名な試験の一つで、1984年から続いています。
日本の企業は、外国人労働者を採用する時に、応募者の日本語能力を確認するために、JLPTの結果を確認することが多いです。JLPTの合格を応募条件の一つにする企業もあります。
また、日本の大学では、JLPTの合格を留学するための条件にしている大学もあります。
日本で働きたい外国人、日本に留学したい外国人は、JLPTを受験して自分の日本語能力を証明することで、日本で働く機会や日本に留学する機会を得る可能性が高くなるため、JLPTに合格することは大事です。
また、日本語学習者が、自分の日本語能力を把握するために受験することも多いです。
このページではJLPTの概要、対象、難易度、合格率等を説明しています。
概要
JLPTとは、日本語能力を測定して、認定することを目的としている試験です。日本語能力を測定するための最も有名な試験の一つで、1984年から続いています。
JLPTは、国際交流基金(JF)と日本国際教育支援協会(JEES)により共催されています。
JLPTでは、以下の2つが測定されます。
⚫︎ 日本語の文字、語彙、文法の知識
⚫︎ 日本語の知識を利用したコミュニケーション力
試験はマークシート方式で、作文や会話の試験はありません。
対象
JLPTを受験することができるのは、母語が日本語ではない人です。
母語が日本語の人は受験することができません。
年齢制限はありません。
試験日
JLPTは年2回、7月と12月に実施されます。
2024年は7月7日(日)、12月1日(日)に実施されます。
難易度
難易度はN1、N2、N3、N4、N5の5つのレベルに分かれています。
N1が最も難しく、N5が最も簡単で、レベル毎に試験問題が異なります。
N1の試験では、日本人でもあまり使用しない言葉が用いられることもあります。
レベル毎の難易度は以下です。
N1
幅広い場面で使われる日本語を理解することができるレベルです。
⚫︎ 読む
幅広い話題についての新聞等、複雑な文章を詳細に理解できる。
⚫︎ 聞く
幅広い場面での自然なスピードの会話、ニュースを詳細に理解できる。
N2
日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができるレベルです。
⚫︎ 読む
幅広い話題についての新聞、雑誌の記事等、内容が明確な文章を理解できる。
⚫︎ 聞く
幅広い場面での自然に近いスピードの会話、ニュースを理解できる。
N3
日常な場面で使われる日本語をある程度理解することができるレベルです。
⚫︎ 読む
日常的な話題について書かれた文章を理解できる。新聞の内容について、概要を理解できる。
⚫︎ 聞く
日常的な場面での自然に近いスピードの会話をほぼ理解できる。
N4
基本的な日本語を理解することができるレベルです。
⚫︎ 読む
基本的な語彙や漢字を使って書かれた、日常生活に関する文章を理解できる。
⚫︎ 聞く
日常的な場面での遅いスピードの会話をほぼ理解できる。
N5
基本的な日本語をある程度理解することができるレベルです。
⚫︎ 読む
ひらがな、カタカナ、基本的な漢字で書かれた、簡単な文章を理解することができる。
⚫︎ 聞く
日常的な場面での遅いスピードの短い会話の中の必要情報を聞くことができる。
合格基準
合格基準は以下の2つです。
⚫︎ 総合得点が合格点以上
⚫︎ 知識(文字/文法/語彙)、読む、聞くの3つの科目全てで、得点が合格点以上
一つでも受験しない科目があると不合格になります。
以下が総合得点、知識(文字/文法/語彙)、読む、聞く、の合格点です。
レベル | 総合得点 | 知識 | 読む | 聞く |
---|---|---|---|---|
N1 | 100/180 | 19/60 | 19/60 | 19/60 |
N2 | 90/180 | 19/60 | 19/60 | 19/60 |
N3 | 95/180 | 19/60 | 19/60 | 19/60 |
レベル | 総合得点 | 知識/読む | 聞く |
---|---|---|---|
N4 | 90/180 | 38/120 | 19/60 |
N5 | 80/180 | 38/120 | 19/60 |
合格率
2023年の試験のレベルごとの受験者数、合格者数、合格率は以下です。
2023年7月
レベル | 受験者数 (人) | 合格者数 (人) | 合格率 (%) |
---|---|---|---|
N1 | 120,407 | 40,975 | 34.0 |
N2 | 144,712 | 60,870 | 42.1 |
N3 | 136,237 | 59,479 | 43.7 |
N4 | 148,410 | 63,184 | 42.6 |
N5 | 52,374 | 26,522 | 50.6 |
全体 | 602,140 | 251,030 | 41.7 |
2023年12月
レベル | 受験者数 (人) | 合格者数 (人) | 合格率 (%) |
---|---|---|---|
N1 | 121,554 | 37,553 | 30.9 |
N2 | 164,670 | 63,807 | 38.7 |
N3 | 164,700 | 57,733 | 35.1 |
N4 | 149,334 | 47,243 | 31.6 |
N5 | 63,037 | 29,418 | 46.7 |
全体 | 663,295 | 235,754 | 35.5 |
最も難易度が高いN1の合格率が最も低く、最も難易度が低いN5の合格率が最も高いです。
受験方法
日本で受験する場合の受験方法は以下です。
1.JLPTのホームページからMyJLPTに登録する(いつでも可能)
2.登録したアカウントでMyJLPTにログインし、受験を申込み、受験料を支払う(試験の3ヶ月〜4ヶ月前)
3.受験票を受け取る(試験の1ヶ月前)
4.試験を受ける(7月/12月)
5.試験結果を受け取る(試験の2ヶ月後)
海外で受験する場合の受験方法は以下です。
1.実施機関の指示に従い、受験を申込み、受験料を支払う(試験の3ヶ月〜4ヶ月前)
2.受験票を受け取る
3.試験を受ける(7月/12月)
4.試験結果を受け取る(試験の2ヶ月後)
海外で受験する場合には国・地域によって受験方法が異なる場合があるため、実施機関に確認する必要があります。
また、7月だけ試験を行う、または、12月だけ試験を行う国・地域があります。
試験会場
試験は日本の全ての都道府県で実施されます。
受験申込時に試験場所を選択し、受験者は受験票で試験会場を確認することができます。
また、海外でもJLPTを受験することができ、以下の国・地域で試験が実施されます。
⚫︎ 東アジア
韓国、中国、モンゴル、台湾
⚫︎ 東南アジア
インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス
⚫︎ 南アジア
インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ブータン、モルディブ
⚫︎ 大洋州
オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、フィジー、マーシャル諸島
⚫︎ 北米
カナダ、アメリカ
⚫︎ 中南米
コスタリカ、メキシコ、アルゼンチン、ウルグアイ、エクアドル、エルサルバドル、コロンビア、チリ、ドミニカ共和国、トリニダード・トバゴ、パラグアイ、ブラジル、ベネズエラ、ペルー、ボリビア
⚫︎ 西欧
アイルランド、イタリア、イギリス、オーストリア、オランダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポルトガル
⚫︎ 東欧
アゼルバイジャン、アルメニア、ウクライナ、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、ジョージア、スロベニア、セルビア、タジキスタン、チェコ、トルクメニスタン、ハンガリー、ブルガリア、ベラルーシ、ポーランド、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、モルドバ、ルーマニア、ロシア
⚫︎ 中東
イスラエル、イラン、カタール、サウジアラビア、トルコ、ヨルダン
⚫︎ 北アフリカ
アルジェリア、エジプト、スーダン、チュニジア、モロッコ
⚫︎ アフリカ
ガーナ、ケニア、コートジボワール、コンゴ民主共和国、セネガル、ベナン、マダガスカル、南アフリカ